G-BASE田町 G-BASE Tamachi, the office building
- 日本造園学会奨励賞
- 港区みどりの街づくり賞
- 港区景観まちづくり賞
スタートアップ企業をターゲットにしたテナントオフィスで、企業と周辺環境の成長を目指し、事業者・設計者・世事で共有したデザインコンセプトは「大樹と林床」です。建物を「大樹」に、その足元に広がるランドスケープを「林床」に見立て、敷地全体で生命観を表現しました。地上18階建ての高層棟の外側にランダムなリブに木目が転写されており、そこに表出される光の陰影は樹肌を感じさせます。建物内の共用部には、樹皮を残したヒノキやナグリ加工の木枠などの天然木が採用されています。
整形の建物に対して不整形のランドスケープは、前面道路から長さ50M、高低差1.5Mのアプローチ空間となっています。雁行した動線と舗装と植栽帯の積層するデザインによって、奥行と立体的な緑が体感できるでしょう。ここにはカフェをはじめ、いくつかの溜まり場が設置されています。溜まり場ではパソコン作業、打合せや卓球を行うことができ、オフィスワーカーの多彩な働き方をサポートします。企業と周辺環境の成長性を敷地全体で表現するとともに、ランドスケープはオフィスとまちの接点となり、地域住民や訪問者も利用できる心地良い緑陰空間を提供します。
3つのデザインストラテジー
ランドスケープが対象とするアプローチは変形地でかつ1.5Mの高低差があり、第一京浜からオフィスエントランスまで勾配をあがる地形になっています。やや特異とも言える土地特性をポテンシャルとして汲み取り、屋外で「新しい働き方」を実現できるよう、3つのデザインストラテジーをたてました。
- 雁行したアプローチ:変形地を活かした雁行した歩行空間により、あえて見通しを遮り、奥行き感を与えています。アプローチの折れ点はフォーカルポイントとし、シンボルツリーやサインなどを設置し、景色にリズムを与えています。
- 微地形の顕在化:高さ1.5Mの微地形を活かすために、舗装と植栽をわずかにかみ合わせるように「積層」させ、舗装端部や緑の陰影によって、この土地に繊細な地形が存在していることを感じられるようにしました。
- 多彩な居場所:「屋内だけでなく、屋外も働く環境である」という考えを事業者と共有し、個人に合わせた多彩な居場所を散りばめました。ベンチにはミニテーブルと電源が設けられ、軽微なパソコン作業ができます。ハンモックに腰かけたり、併設されたカフェでミーティングを行えます。終日日影の場所は、体を動かしてリフレッシュできる卓球スペースに変換しました。